リバーズ・エッジ / 岡崎京子

リバーズ・エッジ 愛蔵版
ストーリー star5
キャラ star4
絵の魅力 star5
演出 star5
個性 star5
中毒度 star5
おすすめ度
(総合)
star5

今回のおすすめ漫画は、岡崎京子『リバーズエッジ』、全1巻。
私の漫画人生の一大転機となった不朽の名作です。
これに出会った時、落雷のようなショックを受けました。
そのショックは生まれて初めて文学作品に触れた時のそれにとても良く似ていて、つまり私は、漫画で描かれた文学というものに初めて出会ったのでした。

「90年代」という時代がありました。
「90年代ってどんな時代だったんだろう?」
この問いに的確に答えられる人はいないと思います。
なんでそんな偉そうなことを言うのかというと、何を隠そう私はこのリバーズエッジに登場する山田くんやハルナたちと同年代なんですねー(歳バレ)。
つまり90年代に高校生~大学生だった人。
90年代が青春だった人。
そんな我々ですが、70年代や80年代と比較して、90年代が語られたという感覚は未だに無いと思います。誰も説明できなかった時代ではないでしょうか。
このリバーズエッジより少し後に中学生の起こした凶悪事件などが報道されましたが、識者やコメンテーターは誰も彼もが見当違いのコメントを残し、みんなが子供のことをよく分からないまま適当な結論を出してウヤムヤになったことを覚えています。
私がリバーズエッジを熱烈プッシュする理由は、これが「90年代」を完璧に説明した作品だからです。
これがこの作品の唯一無二の存在意義。
文学や映画が成し得なかった90年代の物語化に成功している、まあ当事者の私が言うんですから、そこは信用して下さい。
それは、すごいことなんです。誰も出来ないことをやったんだから。

ほぼオール5の評価は、私が主人公たちと同年代だから、という贔屓的な理由ではありません。
ストーリーも演出も、90年代と全然関係のない人たちが読んでも良く出来ていると思います。
岡崎京子はキャリアの長いマンガ家さんなので、徐々にマンガ的手法を獲得し、画風を成立させ、まっとうに成長してきた作家ですが、その結果、非常に特徴のあるモノローグとそれにまつわる演出力は、他のレディコミ系作家の群を抜いていると思います。
たぶん自分がマンガを描く人だったら確実に影響受けてる。

リバーズエッジの構成は映画のそれに似ています。1冊で完結しているにも関わらず、物語はボリュームのあるものになっていて映画を1本観た後のような読後感があります。
また自身がゴダールなどの影響を発言していますので、ストーリーの端々にうかがえるちょっと実験的でオシャレな演出も魅力。

岡崎京子の作品は他にもたくさんありますが、この作品に限っては、私はマンガだとは思えません。歴史的に非常に価値のある文学作品だと思って読んでしまいます。
そしてそれはおそらく間違ってはいないだろうと思います。
同年代の人はもちろん、他の年代の人にも、「90年代とは何であったか」の解答と共に、この名作をおすすめします。

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