めぞん一刻 / 高橋留美子
タグ:☆5, ほのぼの, ラブコメ, 完結, 感動の名作, 泣ける, 青春
| ストーリー | |
|---|---|
| キャラ | |
| 絵の魅力 | |
| 演出 | |
| 個性 | |
| 中毒度 | |
| おすすめ度 (総合) |
今回のおすすめ漫画は、1980年代に流行した「ラブコメ」というジャンルの代表作にして永遠の金字塔、高橋留美子『めぞん一刻』。文庫版や愛蔵版など色々ありますが、大体10巻+αってところです。
高橋留美子と言えば『犬夜叉』ですが、連載する雑誌によってこれほど作風の本質が変わる作家も珍しい。言うまでもなく少年誌と青年誌では求められる作品のタイプが異なってきますが、高橋留美子というマンガ家、個人的に、どうして青年コミックを描き続けてくれなかったのかと悔やまれます。
人々の心の模様を描くことにこれほど長けているマンガ家が、青年誌で「大人の恋愛」を描いたらどうなるのか。これは作者の系譜の中でも唯一無二の奇跡的な作品です。
この物語の舞台となっている80年代当時、私はまだ小学生だったので、リアルタイムにその時代の空気を吸っていたわけではありません。大人になってから間接的にあちこちで見聞きしたものが私の「80年代」のイメージとなっています。
例えばテクノ。例えばディスコ。バブルの時代、きらびやかな時代、高度成長の時代。
ところが、どの時代もそうであるように、80年代は何もバブル一辺倒であったわけではありませんし、その時代に生きた若者がみんなテクノを聴いていたわけでもない。
私が『めぞん一刻』と聞いて思い浮かべるのは、何よりもまず舞台となった一刻館であり、その住人たちです。
彼ら彼女らは80年代という時代の中で、流行に影響されつつも、普通に、地道に生きています。それは当時の市井の人間のありのままの姿ではないかと思います。
『めぞん一刻』に登場するキャラクターは全員、地に足がついています。破滅的な行動をする八神さんも、謎が多すぎる四谷さんも、支離滅裂のようでいて、実在感があります。
そんな住人たちが集まり、管理人さんに恋をする主人公の五代くんを取り巻き、一刻館で喜怒哀楽を共にする。
『めぞん一刻』はラブコメですから、五代くんと管理人さんの思いはすれ違い、誤解されたり、ライバルが現れたりと、いろんな事件が起こります。
ただしその事件とは、実際に起こりうる事件なんです。誰かが死んだり不治の病になるような今時のアレではなく、あくまで地に足が付いた、「一刻館」という生活のベースの延長上として事件が発生するのです。
物語の展開には大きく二種類の方法があると思います。
ややこしい部分は二段・三段飛ばしで進めてゆき、その身軽なテンポを魅力とする方法。もう一つは丁寧に細部を描き、こつこつ積み上げるようにしてやがて大きな物語の像を建立する方法。
『めぞん一刻』はもちろん後者です。
そして感動のレベルで言うと、前者が後者に決してかなわないのも、もはや自明の理でしょう。
最後まであえて内容に触れませんでしたが、まあそういうわけで、ラスト付近は涙が止まりませんでしたよ。
ほんとにね、だばーって。涙が。だああーて。
まあ一度読んでみて下さい。
当時リアルタイムで読んでいて、内容をうっすら覚えている人も、これを機会にもう一度読み返してみて下さい。
ちなみに私は愛蔵版も持っていますが、読んだことのある人にはそのキャッチコピーがたまりません。
「一刻館の五号室を、覚えていますか?」
私はこれで買いました。
覚えていますとも。
あの80年代の、少し古くさい、もう今は誰も住んでいない、素敵なアパートの物語。
当時20代の若者だった二人が、2009年の今は何歳になっているのか計算してみたり、そういうのだけでもう胸が締め付けられるのです。
あれ?
なんか目から水のようなものが…
カテゴリー:青年コミック | trackback(0)
| 2009/04/14 10:47 PM | ![]()






