お~い!竜馬 / 原作:武田鉄矢 作画:小山ゆう

お~い!竜馬(1)新装版
ストーリー star5
キャラ star5
絵の魅力 star2
演出 star3
個性 star4
中毒度 star5
おすすめ度
(総合)
star5

今回のおすすめ漫画は『お~い!竜馬』。巻数はバージョンによって違いますが、おおよそ10巻+αってところです。
これは古い作品だし有名なので知ってる人も多いと思います。しかし、パラパラ眺めて買うのを止めた人も多いのではないかと思います。
実際私もそうでした。
ぶっちゃけ、この作画の絵柄が嫌いでした。てか嫌いです。
『あずみ』がいくら流行ろうとも無理なもんは無理でした。そっちは途中で挫折しました。
まあこれは生理的なものかも知れませんが、私としては、悪役が悪役顔(昭和風)で登場するのが我慢ならなかったんです。小山ファンの人ごめんなさい。

いきなり悪口から始まりましたが、しかしそんな私でもこの漫画のことは忘れられません。家が火事になったら命をかけて救い出すコミックのうちの一つ。
これは名作です。
悪い条件はたくさんあります。
まず、前述のように絵柄が生理的に嫌い。
さらに、史実ではないことがたくさん出てくる。
さらに、武田鉄矢がファンすぎて、思い入れのあるキャラとそうでないキャラの扱いに差がありすぎる。
あと演出がクドいところがある。
古き良き、ではなく、感覚が古い。
うわー悪口ばっか。
しかし!
それでも!
そんなハンデを背負ってなお、「おすすめ度(総合)」に☆5がつくわけです。
なんでやねんと。
いや、私の評価は5段階ですが、つまり、その中の項目「ストーリー」および「キャラクター」っていうか「竜馬」ポイントが☆20個分くらいあるんです。
つまり竜馬がすごすぎるんです。
偉人っていうかヒーローっていうか憧れの人なんです。
俺が小学生なら間違いなく文集に「大きくなったらりょうまになる」と書くレベル。

史実でないことがたくさん出てくる。
これは、ダメな歴史物コミックによくありがちなところです。歴史物という看板を掲げてるくせに、大事なところをゆがめて「読み物」として都合のいい展開に持って行く。その事実・歴史を伝えたいというより、話をおもしろくしたいだけってタイプの漫画がありますが、私はそんな漫画はノーサンキューです。
ところがこの『お~い!竜馬』、一番すごい箇所や盛り上がるシーンが史実なんです。あとの余計なストーリーがちょこちょこ史実と違ってたり。なので読者が後になって裏切られることは少ないでしょう。
ていうかね、繰り返すけど、竜馬がすごすぎるんですね。逆に「嘘だろ」って思うことが史実だったりする。竜馬の人生、マンガ超えてます。魅力のあるキャラクター作りとか必要ないです。ただ単に竜馬の人柄を描けば、普通の人はハートを簡単に持ってかれます。
そういった意味で、竜馬を元にした作品はズルい。

一昔前までは司馬遼太郎先生の『竜馬がゆく』が坂本龍馬の定本だったようですが、私としてはまずこの『お~い!竜馬』をオススメします。
言うなれば「マンガ日本の歴史」ですが、この作品のおかげで私は幕末の複雑な事情、諸藩の考え方や関係性を学びました。この辺はあまり語られていないところだと思いますが、坂本龍馬を語るにあたって、武田鉄矢の構成力は素晴らしいものがあります。
歴史物というよりは幕末の政治マンガなんですが、とにかく分かりやすい。歴史の教科書のように大枠の説明から入るのではなく、竜馬という個人を追いかけているので、当時の武士が何を考えていたのか、どうして幕府を倒すという発想が出てきたのか、そしてそれがどう広まったのか、広まった後で志士たちはどう動いたのか、が、竜馬の軌跡にともなって丁寧に描かれてゆきます。
個人の気持ちをしっかりと描いてるので、歴史が苦手という人も分かる。しかもその細部の描写に妥協が無い。なので、知らず知らず幕末に詳しくなってしまいます。これは実は、非常に優れた幕末の解説書ではないかとすら思います。

正直に白状しますと、私、これ読んで高知県に行ってきました。
もちろん龍馬記念館で龍馬と記念写真を撮り、龍馬Tシャツを買い、桂浜でアイス喰いながらボケーとしてきました。
あと『お~い!竜馬』読んでから「私の尊敬する人ベスト3」の順位が入れ替わりました。
私がアホなのではありません。これが非常に影響力をもった作品であるということです。

また竜馬だけではなく、吉田松陰や高杉晋作ら、竜馬に関わった人々の描写も忘れられません。私は読後、竜馬だけではなく高杉晋作のファンにもなってしまいましたが、魅力のある彼らですから、幕末当時の人々にさえも竜馬のファンはいたようです。
そんなファンのうちの一人である西郷隆盛が残した言葉。
「天下に有志あり、余多く之と交わる。然れども度量の大、龍馬に如くもの、未だかつて之を見ず。龍馬の度量や到底測るべからず」

この言葉は図らずも、この作品の魅力のすべてを物語っているように思えます。

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