輝夜姫 / 清水玲子
| ストーリー | |
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| 中毒度 | |
| おすすめ度 (総合) |
今回のおすすめ漫画は非常にレビューしにくい作品です。清水玲子『輝夜姫』、全27巻。
感想を書くにあたって一気に読み返してみたんですが、最終話を読んだ直後の私の感想は「オフアァ?」でした。
ん?
意味が分かりませんか。
そうですか。
じゃあ「ダバアァ?」でもいいですけど。
「アッフオォ?」とか。
『輝夜姫』の物語としてのジャンルはSFです。以前レビューした『11人いる!』の影響を受けているらしいですが、ドSF。ただし設定が緻密なリアルフィクションではありません。それどころか破綻しまくり。文系脳の人が考えた荒唐無稽なシナリオといった感じです。
しかし、そこに魅力があります。
なのでまず最初に言えることは、これは話の「つじつま」をやたらと気にする理系脳の人には徹底的に向いてませんし、やたらと「リアリティ」にこだわる理屈っぽい人にも絶対に向いてません。そんな人たちが『輝夜姫』を読めば、きっと途中でバカバカしくなって放り出すと思います。
この作品の読者に向いているのは、別にリアリティとかどうでもよくて、単純に面白い話が好きで、できればそれを読んでいる間はどこか遠い世界へ連れていって欲しいと願う、そんな「物語を鑑賞するコツ」を心得た人たちだと思います。
「つじつま」の壁をクリアしたなら、この『輝夜姫』が描く壮大な世界を堪能できることでしょう。ちなみにこの世界設定の感じが何かに似ていると思ってたんですが、さっき思い至りました。FFです。ファイナルファンタジー。あれ系の世界観だと思って下さい。壮大です。
輝夜姫、天人、イケニエ、米軍、後半に進むにつれて、これでもかと言うほど話の風呂敷が広がります。広がりすぎて回収できなかった複線もいろいろあるんですが、まあそれはいいんです。
どうせ最終話読んだ後は複線どころじゃなくなるし。感情が。
詳細は後述。
『輝夜姫』において特筆すべき特徴があるとすれば、その世界観ともう一つ、美麗な絵ではないかと思います。
清水玲子という作家が描く絵は。個性的であり、かつ美しい。前作『月の子』でもそうでしたが、まずその「全コマが画集」のような美しさを堪能するだけでも値打ちがあると思います。
しかし、ただ美しいだけではありません。輝夜姫にはグロいシーンも結構登場します。あーこの作者の絵で良かった、と思うほどに残酷な絵、すなわち残酷な展開もあるのです。
私は結局、その辺りに惹かれてしまったのではないかと思います。
最後まで全く安心して読めませんでした。何かひどいことが起きるんじゃないか、この作者ならやりかねないと、不安いっぱいで巻を追うごとに緊張していったような気がします。
『11人いる!』と同様、『輝夜姫』はSFであり同時にサスペンスでもありました。そのスリルを楽しめたのはいいんですが、実際に酷いことになった後の心の置き所が見つからず、結論としては決して「読者に優しい物語」ではありませんでした。
★ネタバレ★(クリックすると下に開きます)
ていうか!ラスト!何よあれ!
読み終えた直後、速攻で「輝夜姫 最終話」と検索かけるレベル。いや、裏切られたとかそういうんじゃなくて、何か言葉にならない読後感が…ショックではなく、感動したわけでもなく、何でしょうか、でもあのラスト(に至る一連の流れ)がこの作品における賛否両論の議論の中心になっているような気がします。
もっと他にやりようがあったんじゃないか…
いやでもそういう物語だったから受け入れるべきなのか…
三十路を過ぎたオッサンをそんな悶々とした気持ちにさせてしまう、非常に破壊力を持った最後でした。
はい。ちょっとすっきりしたので、続きを書きます。
物語の内容には「恋愛」が大きく絡んできます。が、その「恋愛」とは一般的な少女コミックにおける恋愛ではありません。皆どこかが歪んでます。この作品で描かれる恋愛で一般的なものは1つか2つ、後は異常な執着であったり、孤独の裏返しであったり、依存関係であったり、同性愛であったり、呪いであったり、まー見事にぐっちゃぐちゃです。
ところがそんな関係の中から、数は少ないですが、目が覚めるような名言が生まれています。この作品はコマ割りにしろ台詞回しにしろ決して演出が上手だとは言えないのですが、必死に生きるキャラクターのおかげで読者は物語に引き込まれてしまいます。
なんか、本当にレビューを書き辛い作品でした。
私はこれを人に勧めても良いものかどうか、まだ判断が付きません。せっかく27巻の最後まで読んで「時間を無駄にした!」と思う人はゼロではないと思うからです。
感動した、すごく良かった、そんな感想を持ちにくい作品だとは思いますが、しかし私が「おすすめ度」を☆4にしたのは、なんだかんだ言ってきっと「忘れられない物語」だと思うからです。
多分私はこの物語を忘れません。それに、自分がこうして長々と感想文を書いている行為自体が、この作品の魅力の裏返しのように、自分自身で思います。
カテゴリー:少女コミック | trackback(0)
| 2009/05/04 8:22 PM | ![]()






