さよならみどりちゃん / 南Q太

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ストーリー star5
キャラ star4
絵の魅力 star4
演出 star5
個性 star3
中毒度 star3
おすすめ度
(総合)
star4

今回のおすすめ漫画は南Q太『さよならみどりちゃん』、全1巻。
レディコミを語る上で避けては通れないこの作者の、特に代表作というわけでもないであろう一作ですが、相変わらずモノローグの破壊力は超一級です。
読み直してみて、震えました。

ストーリーは特になんてことのない若い男女の物語。事件が起きるわけでもなく、恋人が白血病になるわけでもなく。
平凡な物語ですが、物語が平凡だからといってその作品が凡作になるわけではないんですね。
この南Q太という作者、恐ろしいほどの視線を持ってます。
女性側の視点はもちろん、男性の視点すら確立しているおかげで、なんてことのないストーリーがこの上ない生々しさを伴って読者に迫ってくる。
どんな日常だって、生々しければ迫力があるんです。
例えば、子供が迷子になる話を、手に汗握る迫力で描くことも可能だということ。
才能さえあれば、読者を興奮させるのに、大災害や白血病はいらないんですね。

ダメ男とそれに惹かれるダメ女。
あっちこっちでつながる肉体関係。
ダメだなあ、と思いながらも続けてしまう。
もうこれきりにしよう、と思いながらもまたヤッてしまう。
ふと、我に返る。
また濁流に飲み込まれる。
そんな男女の、ひりひりするような痛々しい日常が、この一冊に描かれています。
ヒーローはおらず、ヒロインもいない。
しかしながら、どこにでもいるようなだらしない男女が、彼ら彼女らの吐く言葉が、私の胸を打ち抜いたことに間違いは無く。

私がレディコミを好きなのは、以上のような生々しさがあり、研ぎ澄まされたモノローグがあり、「日常」がいかに事件性に富んでいるかを思い知らされるからですが、南Q太というマンガ家はそういった点において間違いなく1・2を争う作家ではないでしょうか。
これを単に演出の力だと言い切ることは難しい。もちろん演出力は実際にすごいわけですが、この世界観は技術だけでは描けないと思います。頭で考えた言葉プラス何か、があると思う。それこそ生身の、肉体的な何かが。

南Q太の作品は若い頃によく買い集めたので、いずれ他の作品も紹介してゆきたいと思いますが、取りあえずはレビュー第一作目『さよならみどりちゃん』、私が自信を持っておすすめしておきます。

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