万祝 / 望月峯太郎

万祝(1)
ストーリー star4
キャラ star5
絵の魅力 star3
演出 star3
個性 star5
中毒度 star4
おすすめ度
(総合)
star4

今回のおすすめ漫画は望月峯太郎『万祝』全11巻。望月峯太郎は『バタアシ金魚』『お茶の間』『ドラゴンヘッド』を描いた人ですね。
この作者、作品ごとにけっこう作風を変えてくるんですが、今回の『万祝』は単純明快な冒険活劇です。なんといっても海賊の話。そこに余計なサブ要素は含まれておりません。みんなが「海賊」と聞いて想像するような話からは大外れしない、非常に分かりやすい作品だと思います。
ちなみに一般的に海賊マンガといえば『ONE PIECE』ですし、私もそのファンなので、読む前はちょっとかぶってるんじゃねーのと思ったんですが、この『万祝』の舞台は現代、つまり今リアルタイムで実在しそうな海賊が登場するので、全然世界観が違います。逆に、同じ海賊を題材にしたものでもこういう物語もあるんだなーという感じです。

この作品、面白さが尻上がりになっています。私自身、3巻くらいまで読み進めてそこから数年ストップしてました。つまらなくはないんですが、「今読む必要がない」みたいな感じで後回しになってたんですね。最初の方はそういうテンションで話が進んでいきます。
ところが中盤辺りから、物語の核に踏み込むような描写が増えてきます。読むのをストップしてたのは、この作品の言いたいことが分からないというか、目指す場所が全然見えなかったからというのもあるんですが、中盤に差しかかるとそれが徐々にヴェールを脱いでいく。それで気付いたら最終巻まで一気に読破していました。

読み終えて感じたのは「おもしろかった!」というごくごくシンプルな、しかし気持ちのいい感覚でした。マンガの中には読後のモヤモヤが晴れずネットで他の人の感想を漁ってみたり、布団の中でもんもんと考えてしまうようなものもありますが、『万祝』に関してはそういう読後感を持つ人は皆無ではないでしょうか。
特にこの作者は『ドラゴンヘッド』で賛否両論のエンディングを描いた人ですから、その反動というか、いい意味でスパッと終わる物語を描きたかったんじゃないかなーと。
思わせぶりな言動、抽象的な表現、そういう要素が一切入らない。それは作者の意向であると同時に「厳しい自然が支配する大海原」という物語の舞台がそうさせているのかも知れません。

そんな海の男があふれる『万祝』の舞台ですが、主人公は女子高生。まあそこがベテラン作家、設定の上手なところですね。主人公フナコちゃんのおかげで、周りのキャラクターまで生き生きとして、海が、光が、輝いて見えます。今回のランキングで「キャラ」の項目に5点を付けたのはそんな理由です。明らかにキャラが物語を引っ張っていってる。なのでこの作品は海洋冒険活劇でもあり、同時に青春物語でもあるのです。

青春。青春とは冒険であり、冒険とは青春である。
フナコちゃんのように毎日がつまんなーいと思っている方々、ぜひ『万祝』を読みましょう。私たちが知らなかったことや、知っていたはずなのに忘れてしまったことを、あのキラキラした可能性に満ちた日々を『万祝』が教えてくれますよ。

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