キーチ!! / 新井英樹

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ストーリー #
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中毒度 #
おすすめ度
(総合)
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☆の数からお分かりの通り、久々のヒット、いや、ヒットという軽い語感からは程遠い、衝撃的な作品に出会いました。
マンガが好きで良かった!と思える作品です。
新井英樹『キーチ!!』。
あの『宮本から君へ』『ザ・ワールド・イズ・マイン』の作者です。
この単語は簡単に使うべきじゃないと重々承知していますが、ここであえて使わせて頂きます。
作者は天才。

この作品をどう説明すればいいものか悩みますが、きっと言葉では伝わらないものがたくさん描かれているから、悩むんだと思います。
新井英樹という作家は、状況を、善悪を、貧富を、国を、美醜を選びません。彼が選んでいるのは性別と、ポリシーと、現代であるということ。乱暴に言えば、それ以外の要素がろくに取捨選択もされず、すべてこの漫画の中の世界に叩き込まれているような気がするのです。
例えば、登場する女性は中年の浮浪者、あるいはブスの小学生。「世間」が好きそうな美少女もお色気もありません。作者は中年の浮浪者の醜さを描き、ブスの小学生の性を描き、「世間」が目を逸らす、あるいは忘れている世界を描き出します。
それがあまりに露骨なので、この作者を嫌う人々も存在しますが、全部の世界が描かれているからこそ、物語は恐ろしいほどの説得力をもって読者に迫ります。
これは本来、完全に文学の領域でした。それを漫画でやられているような気分で、私はどうにもこうにも、その物語の激しさに打ちのめされるしかありませんでした。ところどころマンガならではの展開もありますが、それを補ってあまりある内容です。

一般のエンターテイメント作品のように、読んでいて楽しいことはありません。気軽にも読めません。この作品は読者に、体力と集中力と思考を要求します。
そんな緊張感が欲しかったんだという人は、ぜひ本作を手にとってみて下さい。あるいは、今まで読んだことのないマンガが読みたい、衝撃を受けたいという人にもおすすめします。

いやーしかし、とんでもないマンガってまだまだあるもんだね。

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