医龍 / 乃木坂太郎 (原案:永井明 / 医療監修:吉沼美恵)

ストーリー #
キャラ #
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中毒度 #
おすすめ度
(総合)
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遂に出ました。
このブログを始めて3度目のオール☆5です。
いつものように、読み終わった直後にこれ書いてます。
まだちょっとぼーっとしてる。
はぁ…

『医龍』を簡単に説明すると、まあよくある天才外科医の話です。
『ブラックジャック』に始まる一連の医療系作品と同じく、難しい手術をこなすヒーローが患者の命を助けるという図式は同じ。少年マンガのバトル、少女マンガの恋愛のように、ハラハラドキドキのエンターテイメント作品であることは間違いありません。
さらにこの作品には『白い巨塔』的要素も大きく絡んできます。つまり大学病院の医局を舞台にした、教授選を争う人々の社会派ドラマという側面。物語はこれを軸に進んでいきます。
二つの要素のいいとこ取りをしたような『医龍』ですが、ただ、私はそのアイデアや物語そのものに☆5をつけたわけではありません。
いや、物語はもちろん面白いですよ。続きが気になって止まらなくなるタイプのストーリーはそれだけでも賞賛に値します。しかしこの『医龍』がその他のマンガに比べてぶっちぎりで優れている点は、「細部」。これに尽きます。

「細部」なんて言われてもよく分かんないでしょう。まあ読んでみると分かるんだけど。
私も『医龍』を読む前はコミックの表紙だけ見て、なんとなく凡庸な作品だなあと、まあヒマつぶし程度にはなるかーと思って手に取ったわけです。
ところが読み進めていくうちに、登場人物が一人一人、どんどん命を吹き込まれ、立ち上がっていった。人物の喜怒哀楽が豊かに描かれているわけでも、エピソードが山盛りにあるわけでもないのに、誰も彼もがまるで実際の知り合いのような親密さで、切実さで、そこに生きていたのでした。
それはなぜか。批評的な目で読み返してみると分かります。この『医龍』は他の作品に比べ「細部」の量が圧倒的に違うのです。例えば、人が落ち込んだ時に無意識にとる仕草。あるいは、ふとした折に見せた、何気ない視線の意味。脇役が決めゴマ以外のところで呟く、一生忘れられないような重いセリフ。
そのような血の通った細部が重なり続けた結果、登場人物たちは読者の前に命を持って現れます。そのレベルがとんでもなかった。原案と監修は付いていますが、この作者はこれを本当に一人ですべて描いたのだろうかと何度も疑いたくなりました。老獪な政治家の、純情な乙女の、ひ弱な研修医の、トップを極めた自信家の、彼ら彼女らの生きた細部を、一体どうやって思いついたのか。なぜこの作者が知っているのか。
そんなことを考える時、どうしても「奇跡」という単語が思い浮かんでしまいます。
軽く使う言葉ではありませんが、本作にはその言葉がよく似合うと、最終巻を読み終えた今、私は思います。

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